八ヶ岳 「ペンションあるびおん」の日々 : 最高の一日 最良の最期

Mar 08, 2012

最高の一日 最良の最期

  『最高の一日 最良の最期』柏木哲夫 , 内藤いづみ 共著は、淀川キリスト教病院名誉ホスピス長・柏木哲夫先生と、在宅ホスピス医・内藤いづみ先生の初の対談集です。限られた時間の中の対談ですが、病院と在宅とそれぞれの活躍の場こそ違え、溢れるばかりの体験と忘れられない患者さんのエピソードをお持ちのお二人が、素敵な話術とユーモアで、私たちに『いのち』の大切さ、生きることの意味、最期まで生き抜くことの美しさを伝えてくれる本です。
 当たり前に生きているときは『いのち』を忘れてしまいがちですが、時々自分も限りあるいのちを生きていること、たった一つしかないいのちを生きていることを意識することも大切だなって思います。
  また『緩和ケア』『ホスピス』という言葉は当たり前のように存在する言葉となりましたが、本当の意味はまだまだ理解されて無く、本当の意味で利用されていな事も多いようにおもいます。やはり『緩和ケア』『ホスピス』は、治療ができなくなったときに最期を迎えるために行くところと言う認識が強いようです。私自身も分かっているつもりでしたが、うっかり「できれば内藤先生の患者にはなりたくない(末期癌になりたくないという意味で)」といってしまったときに、「市川さん!私はいのちの先生だから末期でなくてもいつでも頼って良いのですよ」といわれました。そうなんです、緩和ケアの先生は、ともすればいかに苦しまずに最期を迎えられるかを相談する先生と思いがちですが、「いのちの先生」ですから、生きるための相談をいつでもできるところです。どう素敵に一日一日を過ごせるか、いのちと向かい合って一緒に考えてくれる先生なのです。ついつい頑張りすぎて、抗ガン剤をぎりぎりまで使いすぎて返って体力を消耗してしまったり、年齢や病状を考えず無謀な手術に走ってしまったり、高価なだけであまり意味のない治療や薬などに頼りすぎてしまっているときも、上手に軌道修正してくれたりアドバイスしてくれる所だと思います。もう少しこの国でも、気軽にいのちの先生を訪ねて行くことができればいいナーとと思います。
 とてもユーモア溢れる対談で、楽しく読める本ですから一度読んでみてください。