八ヶ岳 「ペンションあるびおん」の日々 : 雪の棒道

Jan 09, 2009

雪の棒道

 昨夜から予報通り雪になり、今日の夕方まで細かい雪が降り続けました。
ちょっと小降りになった時を見計らって、スノーブーツを履いて棒道を歩きに行きました。
キッツ研修センターを過ぎると、まずはアカゲラのお出迎え。白樺の樹をクルクル螺旋を描くように登っています。それを過ぎると、今度は私の左後方で何かがふわーっと何かが飛んだ気配。ふり向くと沢山の雪が高い樹から落ちています。もしかしてフクロウ?それからは目に雪が入るくらい見開いて、上を見ながら歩きました。下は雪だけでつまずくものもありませんから。でもフクロウらしきものを見つけることが出来ず、首が痛くなっただけでした。(笑)
 やっと棒道に着きました。まだ誰も歩いていない棒道は、どちらを向いてもモノクロの世界。カラマツの横に伸びた枝に雪がのって、無数に重なり合い、果てしなく続いているように感じます。女取り湧水への分岐まで行ってUターン。今度は火の見櫓に向かって歩きます。

 でもちょっと変なんです。棒道に入るまでの道や林の中には、沢山の鹿の足跡があ ったのです。でもこうして棒道を歩いても、どこにも鹿の足跡がありません。僅かに残っているのは、キツネの足跡の上に雪がうっすらと積もったもの。今までは、こうして雪の日に棒道を歩けば、必ずと無数のシカの足跡。それも八ヶ岳から里へと下りた跡と里から山へと帰った跡で、鹿の群れが幾組も棒道を横断して行った跡があったのです。とうとう火の見櫓までそんなシカの足跡は見ることがありませんでした。
 これはどういうことでしょう。鹿は山に住むこと、山に帰ることを忘れ、美味しい餌のある里に定住してしまったのでしょうか。畑の柔らかな白菜やほうれん草に味をしめ、もう林の下草や樹皮を食べられなくなったのでしょうか。そういえば木々を見ても樹皮を鹿が食べた跡が少ないです。鹿には鹿の長年食べてきた餌があり、カラマツの樹皮のタンニンが脱角を促したりしていたはずです。私を含め、人間が山の際まで住むようになり、畑を作り花を植え、生活圏が狭くなった野生動物は山から里に下るようになりました。そしてここにも生態が崩れ、人間と野生動物がそれぞれのテリトリーで、仲良く暮らすことが難しくなっていく現実を見せつけられた気がします。