八ヶ岳 「ペンションあるびおん」の日々 : 『気分は羊 英国の旅』

Mar 24, 2008

『気分は羊 英国の旅』

 昨日、私は青梅線河辺駅まで、鈍行電車で3時間の旅をしました。昼間はあずさの本数が少なく、丁度良い特急がなかったのです。
でも私はこうして列車に揺られる一人旅が結構好きです。ゆっくりと本が読めるし、楽しいこと、懐かしいこと、ゆっくりと考えなければならないことに思いを巡らすことも出来るし、普段の睡眠不足を補うこともできる。
で、家を出る前に本棚の前に立ち、まだ読んでない本、読みかけの本の中から持っていく本を選ぶのですが、今日はすーと 『気分は羊 英国の旅』 に手が伸びました。これは著者・野村好美さんにいただいて、まだ読んでいなかった本なのです。

これは版画家である著者がスケッチブック片手に、英国の田舎道を歩いた時のスケッチと日記・・・ではなく、日本で病気のために身動きのとれないお母様に宛てたレポートです。だからお母様が思い描きやすいように書かれた文章は、読者にとってもそうで、中央線に揺られていた私は、いつの間にか英国のローカル列車に乗り移ってしまったようです。私の周りにはコッツウォルズの風が吹き、窓の外には草原に一輪のポピーが揺らぎ、遠くにはすずかけの道が見えてきました。宿の庭や草原やパブリックフットパスに現れる動物の描写も細やかで、そこにある花や木々も鮮明に脳裏に浮かび上がってきます。
長閑な風が伝わってくるスケッチやイラスト、そして自然体な文章。これから病に伏す人を見舞う私の心をどれだけ救ってくれたことでしょう。それが伝わったのでしょうか、病人さんもとても喜んで、沢山お話をしてくれました。

何時か英国を旅する機会に恵まれたら、私もパブリックフットパスをゆっくりと歩いてみたい。そんな旅をしたい。